
(7月8日 Genova - Dragonforceのサポートにて 出演前の一枚)
アルテミス・ファンのみなさまへ
アレッシオのアルテミス脱退について、突然のお知らせでみなさま驚かれたことと思います。5月に日本公演を行ったばかりでしたから、特に日本のファンの方々は仲のいい彼らの姿を目にされていて、このニュースを信じがたいと思われたのではないでしょうか。アルテミスを知るすべての人にとってこれはとても悲しいニュースです。
いつだったでしょうか。。。アレッシオに「大学の博士課程を修了したらロンドンに住みたいと思っている。」と言われたときから、なんとなく私の頭の片隅にもやもやしたものがありました。彼らのようにこれだけ長く一緒に活動してきたバンドのメンバーが離れ離れになることには、正直とても不安がありました。アルテミスをこれまでどおり活動させていくために、アレッシオに定期的にイタリアに戻ってもらうよう地元でのライブのブッキングなどかなり具体的なことを思案していました。
またバンドのプロモーション、ファン・ベース作りなどの目的で、レコード会社の方や関係者の方々のお力をお借りして5月の日本公演を企画しましたが、一方でこのジャパン・ツアーによってバンドの結束力が一層強まることも密かに私は願っていました。ですからそのためにはたとえ費用を自己負担してでも今回のアルバムでバンドを来日させることが必要だったのです。それもメンバー全員が初めて訪れることになる国、彼らがずっと行きたいと憧れていた日本であることがとても重要でした。彼らはジャパン・ツアーを本当に楽しんでくれました。今までの人生で最高の経験とまで言い、今でも日本での出来事を昨日のことのように話しています。日本を離れる朝、成田空港でアレッシオから「初来日は1回しかないからね。こうやって4人で一緒に初めての日本を経験できたのはとても貴重だった。」と言われました。もしかしたらこのときからもう彼の中では何かが動き始めていたのかもしれません。
そしてある日アレッシオから私に電話があり、これからの進路について話をしたいと言われ彼の固い意志を聞かされました。この決断に達するまで彼はとても悩んだ、と。そしてそれでも自分の将来、信じる道に向かって進むには今あるものをすべて失ってでも全力で取り組まなければならない、と。私はもとよりアルテミスの3人も、アレッシオの親友としてこの決断を尊重するべきだと思いました、たとえそれがアルテミスにとって大きな痛手になるとわかっていても。アンドレアもパオロもマッテオも泣きました。決断するまでの過程で、またその意思を伝える段階でアレッシオも泣きました。そんな彼らの思いと涙を乗り越えて今回の発表に至った訳です。
今はみんなアレッシオの将来と新しいロック・バンドの成功を祈って応援しています。アレッシオもロンドンで新しい生活をスタートさせ、毎日サウンド・エンジニアリングの学校に通い頑張っています。私が4年前に初めてアレッシオに会ったとき、彼はいつもアンドレアの横でニコニコ微笑んでいるおとなしい青年でした。今その志と決断を目にして、彼にはこんなしっかりしたところがあったのかと驚き、また頼もしくなったと感心しています。
このメッセージを書くにあたってアレッシオに確認をとったところ、みなさまによろしく伝えて欲しいと言われました。彼は少し前からこれまで歌ってきたスタイルとは違う曲を書いていて、それが今自分に必要な音楽の表現方法だと認識したときに自然と今回の決断に至ったそうです。このことは彼自身のメッセージにも書かれていますが、ここでも重ねてみなさまにお伝えしてほしいと頼まれました。幸運なことに彼には同じ志を持った仲間がいます。彼ら3人が作り出す音楽がどんなものになるか今から楽しみです。

(7月8日 Genova - Dragonforceのサポートにて アレッシオ自らチョイスした一枚)
さてバンドの顔となるヴォーカルを失ってしまうアルテミスですが、アンドレアはじめ3人は前向きに動いています。マネージャーの立場としても、やっと来日を果たし、またイギリスでのブレイクのチャンスをつかみかけたこの時にメンバー・チェンジというのは正直泣きたいところですが、新しいヴォーカリストをバンドに迎えた暁にはさらにバンドを大きく成長させていく所存です。アルテミスを成功させることでアレッシオがこのバンドに在籍していた意味も更に大きくなるのでは、と思っております。次アルバムではまた日本公演を行いたいですし、そのためもあってここで日本で初めてのオフィシャル日本語サイトを立ち上げます。詳細は追ってお知らせ致します。イギリスでもこれから更にツアーやフェスティバル参加についてのご報告があります。そしてもちろん地元イタリアでも引き続きライブ活動を行っていきます。アルテミスはこれからもアンドレアの笑顔のように(笑)常に明るく頑張ってまいります!今後とも彼らのサポートをどうかよろしくお願い致します。
柿澤 ちづか
マネージャー